日本でも最近、耳にすることが増えてきた「デジタル通貨」。
世界では続々と導入に向けて実証実験が進められ、2020年10月、カンボジアでは中央銀行デジタル通貨「バコン(BAKONG)」の運用が始まりました。
バコン開発には日本企業のスタートアップ「SORAMUSTHU(ソラミツ)」が関わっており、世界に先駆けて導入されたカンボジアのバコンについてご紹介します。
中央銀行デジタル通貨とは?
そもそもCDBCとは、中央銀行デジタル通貨(CBDC:Central Bank Digital Currency)の略で、中央銀行が発行するデジタル通貨を指します。
中央銀行以外の民間業者が発行する仮想通貨とは異なり、各国の中央銀行が発行する点がCBDCと仮想通貨の大きな違いです。
また、CBDCは国家がその価値を保証しているため、大きな価格変動が起きにくいという特徴があります。
デジタル通貨「バコン」利用でできること
銀行口座開設不要で個人間送金、銀行口座への振り込み、QRコード決済等のeウォレットのサービスが利用できるようになります。

CBDC導入の2つの目的「金融包摂」「通貨独立」
カンボジア国内では、既に街中ではQRコード決済が普及しており、お財布や現金を持たなくても買い物や決済取引ができ利便性が高まっていますが、今回、今回中央銀行デジタル通貨の運用が始まったのにはどのような背景があるのでしょうか。
金融包摂
「金融包摂」とは、経済活動に必要な金融サービスをすべての人々が利用できるようにする取り組みのことです。
バコンを利用することで、貧困や経済発展の遅れにより銀行サービスにアクセスできない個人に預金や送金の機会を提供したり、資金調達が困難な新興企業への融資を行ったりすることが可能になります。
【参照】https://www.nomura.co.jp/terms/japan/ki/A03218.html
通貨独立
次に「通貨独立」についてです。
カンボジアでは自国通貨リエルより、米ドルが流通しており、カンボジア経済は高度なドル化が進んでいます。
2020年時点で現金の83.7%がドル、預金の91.7%が外貨建て(主にドル建て)と現地通貨リエルの役割は小さいのが現状です。
金融包摂に加え、こうした経済のドル化の課題に対応し、自国通貨の流通量を増やすために「バコン」の普及を推進しています。
世界のCBDC導入取り組み状況について
中国:デジタル人民元。世界に先駆けてCBDC「デジタル人民元」の導入に向け実証実験を進めている。
アメリカ:中国のデジタル人民元導入の動きに対し、アメリカでは2022年に入り「デジタルドル」の導入に向けて動き始めています。
EU:2021年7月時点、欧州中央銀行ではCBDCの導入に向けた準備を進めていると発表しています。
日本:現時点において、CBDCを運用する具体的な計画はないとしています。
デジタル通貨発行については、利用者のセキュリティーの課題や民間銀行の預金や資金仲介への影響を踏まえ、導入に対し慎重な姿勢をとっている主要国銀行が多い中、カンボジアのように世界に先駆けてCBDC運用を始めている国がでてきました。
今後の世界のデジタル通貨の発行の動きに、大注目です!
【参照】